Vol32 子どもにカフェインは何歳から大丈夫ですか? 管理栄養士 佐々木 佳歩

カフェインはコーヒーや紅茶だけでなく、お茶や清涼飲料水にも含まれる成分です。
摂取量に注意が必要と分かっていても、思いのほか身近な存在でどの程度気を付けるのがいいのか心配になる方も多いのではないでしょうか?
カフェインは、適量を摂取すれば頭が冴え、眠気を覚ます効果があるとされています。
過剰に摂取すると、めまい、心拍数の増加、震え、下痢、吐き気等の健康被害をもたらすことが知られています。
もともとカフェインの感受性(影響の出やすさ)には個人差が大きく、その効果が大きく出る人もいれば、それほどでもない人もいます。
ただし、子どもはカフェインに対する感受性が高く、大人よりその影響を受けやすいと考えられます。
日本では子どもの1日のカフェイン摂取量に関する明確な基準は決められていません。
しかし、カナダの保健省や世界保健機構(WHO)が推奨する摂取上限が日本でも参考とされています。
子どもの体重に基づいて計算され年齢ごとに異なる目安が示されています。
◎子どものカフェイン摂取目安の上限量(※カナダ保健省より)
年齢層 | 摂取上限(体重1㎏あたり) | 摂取上限(1日当たり) |
4〜6歳 |
2.5㎎/kg
|
約45㎎ |
7〜9歳
|
約62.5㎎ | |
10〜12歳 | 約85㎎ | |
13歳以上 | 体重に応じて算出 |
※上記の数値は子どもの体重に基づく推奨上限であり、個々の健康状態や感受性によって適切な摂取量が異なる可能性があります。
あくまで目安として考え、可能な範囲で子どものカフェインの摂取は多くならないように気を遣ってあげることが大切です。
消費者庁や食品安全委員会が、特に注意喚起を行っているのがエナジードリンクやコーラなどの清涼飲料水です。
これらには高いカフェイン濃度が含まれている場合が多いです。
必要な際は子ども用製品を選ぶようにし、カフェイン含有量をしっかりチェックしましょう。
また、カフェインはコーヒー・紅茶だけでなく、チョコレートやココア、緑茶などにも含まれており、4歳未満の子どもには注意が必要です。
もしも、多量にカフェインを摂取してしまい症状が重かったり、改善がみられなかったりする場合は、医療機関を受診するようにしましょう。
◎お茶のカフェイン濃度
お茶の種類 |
100mlあたりのカフェイン
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玉露(浸出液) |
160mg
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煎茶(浸出液) |
20mg
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ほうじ茶(浸出液) | 20mg |
玄米茶(浸出液) | 10mg |
ウーロン茶(浸出液) | 20mg |
紅茶(浸出液) | 30mg |
抹茶(粉末) |
48mg
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参考https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
子どものカフェイン摂取量を把握するためには、各食品や飲料のカフェイン含有量を確認し、1日の合計摂取量が推奨される上限を超えないようにすることが重要です。
上限を超えなくても、寝つきが悪くなり夜中に目覚めたり、落ち着きが無くなったり、興奮状態やイライラしやすくなるなどの影響が出る場合もあります。
はじめに記載した通り、カフェインに対する感受性は個人差が大きいため、体調や反応を観察し必要に応じて摂取量や摂取時間を調整することが推奨されます。
知らずにカフェインを摂り過ぎることが無いよう、飲み物を買うときは成分表示の内容や飲む量を大人が確認してあげましょう。
こまめに十分な水分補給で暑い季節も元気に乗り切りましょう。
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株式会社サノ・ファーマシー
管理栄養士 佐々木佳歩